やっと回路図を書くところまで来ました。
でも、回路図を書くのは難しくありません。
必要な部品を配置して線で繋ぐだけです。
難しいのは電子回路図を考えるスキルですが、それをやり始めたらキリがないので割愛します。
尚、シンボルライブラリに「power」だけは必ず追加してください。
これが電源関連のシンボルとなります。
今回作る回路はフォトカプラで受けた信号をマイコンに取り込み、オープンコレクタ出力するという回路です。
回路図を書く方法を覚えるのが目的なので、わざわざ難しい回路を書く必要はありません。
下図の赤い枠で囲われているボタンを押すと回路図エディタが表示されます。
部品を配置する
一番最初にやるのは部品を配置する事です。
下図右側に縦並びのボタンより赤枠で囲んであるボタンをクリックします。
クリックするとマウスカーソルのデザインが変わるだけですが、そのまま配置したい所へマウスカーソルを持って行きもう一度クリックします。
そうするとシンボルを選択するウィンドウが開きます。
左側には「シンボルライブラリを管理」で選ばれたライブラリの一覧があり、場合によっては名称の右側が「+」になっているかもしれませんので「+」をクリックしてツリーを展開します。
そうすると自作のライブラリであれば、自分で登録したライブラリデータの一覧が表示されます。
配置したいライブラリを選択して「OK」ボタンを押すか配置したいライブラリをダブルクリックすると回路図へライブラリが配置できるようになります。
この手順は省略でき画面上でaキーを押すとその場でシンボル選択ウィンドウが開きますので、慣れてくるとこちらの方が効率良くパーツ配置ができます。
下図が回路図にライブラリを配置する寸前です。
まだマウスを移動させるとパーツも追従し配置は確定していません。
そしてパーツの向きも重要です。
回路図の基本は左から右です。
つまり左側に入力部を、右側に出力部を書きます。
但し私の場合、数百ピンもあるFPGAなどを使う回路図では大量の線が交差して訳分からなくなるより見やすい回路図を心がけるので左入力右出力のルールを緩和する事もあります。
話はそれましたが、パーツ配置を確定する前にパーツの向きも決めれば後の手間が省けます。
しかもキー1つで簡単に変えられるので覚えた方がいいと思います。
使うキーと機能は
rキー:パーツの90度ごとの回転
xキー:水平反転
yキー:垂直反転
となります。
右クリックでメニューを表示させ向きを変える事もできますが、キーの機能を覚えた方が間違いなく効率がいいです。
配置前にマウスホイールを回転させると表示の拡大・縮小ができるので正確な配置もできます。
全ての部品を置くと下図のようになります。
邪魔なモノを移動させる
パーツを配置した回路図を拡大すると抵抗のシンボルとリファレンス(R?)が重なってます。
これは分かり難いので今回はリファレンスを移動させます。
重なっている部分にマウスカーソルを持って行き「m」キーを押します。
この時、移動対象が複数ある場合下図のようなウィンドウが開き対象となるモノは何か問い合わせされますので移動させたいモノを選択します。
今回は「フィールドリファレンス」を移動させます。
これだけ重なっていると移動させようとしている「R?」はどのパーツの「R?」なのか分からなくなりそうですが、移動中は下図のようにどのパーツの「R?」なのかが示されるので安心して仮置き場へ移動させる事もできます。
部品を繋ぐ
回路図を書く中では一番作業量が多く大事な作業です。
ここで間違えると火を噴く回路になる可能性もあります。
結線開始はwキーを押すと簡単に始められます。
但し、注意が必要です。
それは、wキーを押した時にマウスカーソルがある位置が始点となるからです。
そこが全く関係のない場所ならEscキーで一度キャンセルする事もできますが、これもまた手間なので慣れるまではマウスカーソル位置を意識して始めてください。
ちなみに電源を配置する場合はpキーを押してください。
「power」ライブラリだけが表示され、電源シンボルが配置可能となります。
結線は複数の線を繋ぐ事もあります。
十字になっている線が単に交わっているだけなのか繋がっているのかを決めるのはジャンクションの有無です。
しかしT字接続で毎回ジャンクションを置くのも大変な作業です。
そこでKiCadはT字結線には自動でジャンクションが配置されます。
下図はフォトカプラの5番ピンに繋がっている抵抗の左端を左側の縦線に繋ぐ直前です。
このまま線を左側の縦線上に持って行きクリックすると下図のように自動的にジャンクションが配置されます。
十字に交差している線にはジャンクションは配置されません。
回路図がまだ手書きだった頃、十字にジャンクションは禁止と言われてました。
単に十字に線が行き交っているのか接続されているのか分かり難くミスの原因になるからです。
Cadを使った回路図ではどっちか分からないという事態にはなりませんが、十字交差のジャンクションは使いません。
繋いだ線を編集する
線を接続していくと時々困った事が起きます。
下図のケースが結構ありますが、等間隔で線を描いたけどスペースの取り方が悪く残りの配線がきれいに引けない時です。
こんな時は既に結線した線を移動させれば解決しますが、単に移動させるだけだと繋がりが切れます。
下図まだ移動中なのですが縦線の接続が切れた状態になります。
(線の上下端に四角になり未接続を表します。)
こうなってしまうと届いてない線に線を追加したり余分な線を削除する手間があります。
そこで縦線を選択した状態で「Tab」キーを押します。
そうすると下図のように線全体が選択された状態となり接続状態をキープしたまま線の移動ができます。
また複数の線を選択し「Tab」キーを押せば、下図のように効率良くまとめて移動もできます。
尚、フォトカプラのコレクタとエミッタをマイコンに繋ぐのはおかしくね?と思った方もおられると思いますが、これはあくまで線移動の例であり最終的にエミッタはGNDに繋ぎます。
とりあえず線をサクッと引いた完成図です。
これだけで完成ではありません。
部品を識別するための部品番号割り付けやKiCadではERCと呼ばれる出力同士が繋がってないかチェック(OrCadではDRCと呼ばれている)を行い基板設計に必要なネットリストの生成を行います。
部品番号の割り付け
部品番号の割り付けは自動でも行えます。
下図の赤い枠のボタンを押しルールを決め自動で部品番号を割り当てます。
部品番号の割り振りは縦でソートして順番を決めるか横にソートして順番をきめるかできるのですが、私は使わないです。
使わない理由は抵抗などの細かい部品でグループ的にまとまっているのに配置によってはバラバラな番号になってしまい、後で分かり難くなるからです。
あと、ICなどは入力側からIC1、IC2と割り振った方が後々分かりやすいですが、座標による割り付けはこれもバラバラになる可能性があります。
自分で番号を割り振る場合は「R?」をダブルクリックし編集画面で数値を入力します。
この時「?」が選択状態になっているのでBSキーで消す手間はありません。
ERCで回路チェック
ネットリスト生成前の最後はERCチェックです。
下図の赤い枠にあるボタンを押してください。
ERCチェックのウィンドウが表示され下にある「実行ボタン」を押します。
もしかしたら警告がいっぱい出るかもしれません。
しかしその警告を全部消す努力は必要ありません。
本当にヤバイ警告だけ対処し、対処する必要のない警告は無視してもいいです。
未接続ピンも警告が出ますが下図赤枠の×ボタンを押しその後未使用ピンの端をクリックする事でピン端に×が表示され意図的に使用しないと定義する事で警告は消えます。
ネットリストの生成
これが回路図作成の最後の仕事になります。
下図赤枠のボタンを押すとネットリスト生成ウィンドウが表示されます。
特に設定する事もなく「ネットリストを生成」ボタンを押してください。
無事ネットリストが生成されるとプロジェクトの画面の左側にネットリストファイルが追加されています。
ここまで来たら基板設計になります。
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